はじめに
これは映画『真夏の方程式 (著:東野圭吾)』を見た感想をありのままに書いた記事です。
まだ原作を読んでいない、映画を見ていない人は見ないでそっと閉じて下さい。


あらすじ

美しい自然と海に囲まれた玻璃ヶ浦。そこで大規模な海底資源の探索が行われようとしていた。
地元住民達は反対運動を起こし、探索を行う研究者側と地元住民への説明会が行われていた。
帝都大学の湯川学は説明会での専門家として呼ばれ、ひょんなことから反対運動をしている川畑成美の父、川畑重治が営む緑岩荘に泊まることになった
同じく緑岩荘には川畑重治の妻、節子の異母兄弟である柄崎敬一の息子、恭平が泊まりに来ていた。
玻璃ヶ浦に来る電車の中で、偶然にも湯川に助けてもらった経緯から、恭平は湯川を博士と慕い、話かけるも子供嫌いの湯川は恭平を冷たくあしらうも、いつもは子供と接するとあらわれる蕁麻疹が出ないことに気がつく。
そんな時、同じ緑岩荘に宿泊していた塚原正次が近くの岩場で死体となって発見された。
当初県警は事故死と決めつけていたが、なくなった塚原は元警視庁の捜査一課に勤めており、警視庁捜査一課の管理官の尊敬する先輩であった。
そこで同じ宿泊先に湯川が泊まっていることが判明した管理官は草薙俊平に他殺の線で捜査するよう命じる。
草薙は岸谷にも要請し、岸谷は東京と玻璃ヶ浦を往復しながら地道な捜査を続けていく。
そんな中、湯川は理科嫌いで船酔いのために船で沖に出て綺麗な海を見ることが出来ない恭平のためにペットボトルロケットを使った実験を、恭平と共に実施する。
その帰り、ひょんなことから湯川は恭平が事件に巻き込まれている可能性を見つけ、そして事故死ではなく、殺人の可能性があることを発見する。
そして湯川と岸谷がそれぞれの場所で塚原が殺された謎について、解き明かしていくのである。

人物像について
– 湯川学(福山雅治)
今回はいい意味であまり前に出ること無く、話が進んでいったのがよかった。湯川の心情の変化とか、今まではとは異なった湯川学の思考の流れが汲み取れて面白かった。

– 岸谷美砂(吉高由里子)
なんかケバかった印象があるが、映画仕様としてはまぁありかなと。
本来は内海と草薙が奔走して、三宅典子と川畑節子との関連性が明らかになっていくが、今回は岸谷のみがメインで捜査していく流れになっていた。
あの時間の中で真実を解き明かしていくには、一人の方が映画を見てる側としてはわかりやすかったので良い編集だと思う。

– 草薙俊平(北村一輝)
上述の通り原作では活躍するが、映画ではほとんど出番なし。映画という時間が限られた中では致し方ないかなと思う。

– 川畑成美(杏)
スッピンの杏は川畑成美に適役だと思った。美しさと心の影がマッチしてたと思う。
個人的に印象的だったのは、中学時代の友達からの電話での受け応えの演技が最高だった。友達からの内容に感情を押し殺してる感じがすごい伝わった。

– 柄崎敬一(田中啓司)
最後のシーンで頑張ってペットボトルロケットの計算結果を理解しようとしたシーンとか、携帯で妻に電話しているシーンとかがいいね!って感じだった。
映画だと殆ど何をやっている人なのかわからなかったが、お店が忙しい人なんだなって感じは存分に出てた。

– 柄崎恭平(山崎光)
この子は可もなく不可もなくって感じだった。映画である都合上、原作のように冷めた感じの子供役ではなく、普通の元気な親戚な男の子って感じの役だった。

– 川畑重治(前田吟)
超適役。原作読んでる時は想像できなかったがこの人しかしないと思った。
足が悪い理由は年とかかな?それでも納得できる。

– 川畑節子(風吹ジュン)
この方も超適役。綺麗な人で昔ホステスやってて人気あったとか、小料理屋でも人気あったとか完璧でしょう。
強いて言うなればタバコのシーンは吸ってないのがわかってしまったのが惜しかった。綺麗だけど影があるからこそ、タバコのシーンには納得出来たけど。

– 三宅伸子(西田尚美)
突然訪問してきた三宅伸子と中学生の川畑成美のもみ合いのシーンのお陰で、川畑成美が三宅伸子を殺害してしまった理由に納得できた。
西田さんの演技とあの流れは素晴らしい。クマのぬいぐるみを蹴り飛ばすシーンとか、あれ無いとダメだし、西田さんのまさに吐き捨てるような最後のセリフが完全に引き金になっちゃってるじゃん感が半端無かった。いい意味で昼ドラ感があった笑

– 仙波英俊(白竜)
なかなか原作でのほお骨が浮き出るほどやせ細っていた死に間際の人ってのが、想像できなかったのでそこまでやせ細った人じゃなくて良かったと思う。

ストーリーについて
湯川は恭平になにかシンパシーを感じていたのではないかと考える。
強兵は原作では冷めた感じの心の思いが出ていたが、映画では殆どなかった。
しかしご飯で湯川が冷たくあしらった後に恭平が大人の態度に嫌気が指していることを言葉で発する。
湯川はその後に蕁麻疹を気にするが、蕁麻疹は出ていなかった。
完全な憶測だけど、湯川自身もそういった体験などがあり、自分と同じであることを感じたのではないか。
だからこそ一生懸命科学の素晴らしさを伝えようとしたのではないだろうか。
映画ではなかったけど、原作では湯川が恭平に宿題を教えてるシーンが何度かあることからも、湯川がただ思いつきだけで恭平とペットボトルロケットを飛ばしたわけではないと思う。
そして、意図せず犯罪の一旦を担ってしまった恭平。
それになんとなく気がついてしまった恭平。
湯川は恭平がこれから苦しみ続けるであろうことは、容易に想像できた。
湯川は最後にわざわざ恭平が帰ることを聞いて、駅で待っていた。

「一緒に考えよう。君は一人じゃない」
そう言った。

成美にもいつか真実を話してあげてほしいと言った。
湯川にも同じような、似たような体験があるのではないか。
だから同じ思いをさせたくないと思い、今回の事件であっさりと、むしろ自分から捜査に取り組んだのではないか。
あくまでも推測でしかないし、間違っているかもしれないけど、そう考えると納得出来てしまうような気がしました。

おしまい。

 

 

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