昔、とあるPoCをやった際に、当時の上司が非常に抽象度の高い未来絵図を話すことが多く、実装をするものとしては抽象度の高いことばかりを言っていないで具体的な指示をほしいと考えていた結果、あまりその未来絵図の話を聞かずに自分がやるべきことを中心に考えていたことがあります。
なんとなくそれではいけないように思っていましたが、時間も無く、新しい技術のキャッチアップも必要だったために、理解することなくPoCを終了することになりましたが、今になってどうしたらあの時のPoCがうまくいったかを振り返るようになりました。

PoCを成功させるのに、必要な要素はいくつかあったと思いますが、そのうちの1つに上司の抽象度の高い要求を理解していなかったことがあると思い、この「具体と抽象」を読むことにしました。

読んだ結論としては、「具体」なことだけでも「抽象」なことだけでも駄目であること、抽象度の高いことを話す人には具体的なことを考えている人と比較して広い視点を持っている場合があるということでした。
もちろん、抽象度の高いことばかりを言ってごまかしている人も中にはいると思いますが、ビジネスのことを考える場合には、抽象度が高い視点を持つことが如何に重要かを理解しました。
また、人は自分のことを一般化されることを嫌う傾向にあるという点により、あの話は自分とは違うと言いがち思いがちになるという点に於いても、少なからず自分の中にあったのかもしれません。

抽象度の高い目的を具体的な実装に落とし込むというのはやはり知識や経験が必要です。
それをどちらも持ち合わせている人がリードエンジニアやCTO等になっていくのでしょう。
抽象化された目的を如何に具体的なものにしていくかは、常に色々な視点でキャッチアップしていく必要があることもこの書籍を通して理解出来ました。

私は技術的にも抽象化された事柄を具体的に落とし込む点に於いては意識が弱かったように思うので、組織の未来をより良いものにしていくのであれば「抽象」と「具体」を意識して考えていけると良いと考えており、意識が変わるきっかけになった本でした。

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